ピアノといえば、ポップスやロック、ヒップホップやハウス、そしてジャズやクラシックまで、あらゆるジャンルで聞くことのできる、DTMになくてはならないサウンド。
リスナーにも親しみやすく、耳なじみのよいその存在感で、楽曲に華をそえてくれます。
この記事では、定番の人気ピアノ音源から、ぼくがぜひおすすめしたいピアノ音源まで、いろいろな種類のプラグインをまとめました。
それぞれ、サウンドのデモとあわせて、特徴や比較したいポイントなどを書いていきます。聴き比べしつつ、選び方の参考にしてみてください。くわしいレビューやセール情報・価格チェックをまとめた記事へのリンクも貼っておきますので、そちらもご一緒にどうぞ。
Ivory II - Synthogy: 細部まで美しいリアルな高音質ピアノ音源
SynthogyのIvory IIは、リアルサウンドの本格ピアノ音源。
大容量で収録されており、生ピアノのような高音質を求めるプロ達にも広く使われる、定番のシリーズです。あの、宇多田ヒカルさんも使ってるそうな。
Ivory II っていう音楽ソフトです いろんなグランドピアノの音が入ってるの。 RT @YUKi_i_i_i: 11枚もディスクあるソフトってどんなソフトなんですか!?
— 宇多田ヒカル (@utadahikaru) July 22, 2011
ラインナップには、スタインウェイ Model D・ベーゼンドルファー 290 インペリアルなど、世界最高峰のグランドピアノやアップライトピアノがそろえられています。それぞれVSTのほか、スタンドアロンにも対応。
Addictive Keys - XLN Audio: 定番ピアノ音源・スタンドアロンも
XLN AudioのAddictive Keysシリーズは、初心者から長く使える定番ピアノ音源です。
さまざまな楽曲になじみやすくいい音。読み込みも軽いので、デイリーに使いたくなるプラグイン。スタンドアロン版もありで、価格的にもおすすめです。
YAMAHA U3をサンプリングした『Modern Upright』・スタインウェイ Model Dの『Studio Grand』ほか、エレクトリックグランドピアノ YAMAHA CP-80サンプリングの『Electric Grand』・Rhodes Pianoの『Mark One』があります。
EZkeys 2 - Toontrack: DTM初心者にもおすすめのピアノ音源
ToontrackのEZkeys 2 シリーズは、便利な機能にくわえて、拡張性もバッチリなピアノ音源です。
楽器経験がなくてもリアルなピアノ演奏をすぐに鳴らすことができ、さまざまなジャンルに対応できるMIDIパックの販売もあり。ハイクオリティな楽曲をいち早く作りたいDTM初心者には、とてもおすすめ。
また、グランドピアノ・アップライトピアノだけでなく、さまざまなキーボード系音源がラインナップしています。スタンドアロンにも対応。
THE GIANT - Native Instruments: ダイナミックに映える
Native InstrumentsのTHE GIANTはダイナミックなサウンドが特徴のピアノ音源。KONTAKTで動作します。
世界最大級のアップライトピアノをサンプリングしており、パワフルなシネマティック感から、ジャジーな空気感まで、独自の存在感で映えてくれます。また、弦や鍵盤の音をサンプリングしたシネマティック音源もあわせて収録。
KOMPLETEバンドルがお得に購入できるので、チェックしてみてください。
THE MAVERICK - Native Instruments: ポップス・Lo-Fi系にも
Native InstrumentsのTHE MAVERICKは、ビンテージ系ピアノ音源。
1905年に作られたグランドピアノをサンプリング。落ち着いた安心感のある心地よいサウンドで、なおかつアップライトピアノにはない深みを持ちあわせています。
気取らないポップミュージックや、Lo-Fi Hip Hopなどのニュアンスをグッとだしてくれる、個人的に大好きな質感です。
こちらもKONTAKTで動作し、KOMPLETEバンドルにふくまれています。
Pianoteq - Modartt: サクサク軽いおすすめモデリングピアノ音源
ModarttのPianoteqシリーズは、フィジカルモデリングで作られたピアノ音源。
サンプリングと比較して、とても小さいファイルサイズ。スピーディーに立ち上がり、CPU負荷も軽くてサクサク使えます。それでいて、細かいところまでしっかり作り込まれているので、とてもリアルなサウンド。
パソコンやMacのリソースをできるだけ節約したいというDTMerには、最初におすすめしたいプラグインです。スタンドアロンにも対応。
モデルはSteinway・Bechstein・Bösendorfer・Yamahaなどのピアノ音源ほか、エレピ・Clavinet・Toy Piano・Kalimba・Glockenなど、幅広くラインナップしています。
Keyscape - Spectrasonics: 人気シンセサイザーと連携で音作りも
SpectrasonicsのKeyscapeはピアノ・キーボード系の総合音源です。
グランドピアノはYamaha C7を、アップライトピアノは1900年Wing & Son製のアンティークモデルを使用するなど、王道からマニアックまでバラエティ豊かに収録。
さらに、フラッグシップソフトシンセであるOmnisphereと連携して、より柔軟にサウンドデザインをすることもできます。スタンドアロン版もあり。
Ravenscroft 275 - VI Labs: エレガントな高音質・iPadアプリも
VI LabsのRavenscroft 275は、Ravenscroft Pianos社と公式で共同製作されたピアノ音源。UVI Workstationで動作します。
細部までていねいにレコーディングされたリアルサウンド。ピアニッシモからフォルティッシモまで、唯一無二のエレガント響きにうっとりできます。
Ivory IIなどのド定番をハズしたいなら、とくに要注目。おすすめです。iPhoneやiPadで使用できる、iOSアプリ版もあり。
True Keys - VI Labs: Steinway Model D・Bechstein・Fazioli
VI Labsからは、世界の名高いコンサートグランドピアノ3種類を音源化した、True Keysシリーズもあります。
Steinway Model Dサンプリングの『American Grand』、Bechstein セミコンサートグランドの『German Grand』、Fazioli F308の『Italian Grand』がラインナップ。UVI Workstationで動作します。
こちらも、弦の共鳴や、鍵盤・ペダルノイズまで100%サンプリング。リアルな表現力が魅力です。
Session Keys - e-instruments: 定番ピアノの音源に便利な機能
e-instrumentsのSession Keysシリーズは、定番ピアノサウンドがラインナップし、曲作りをサポートしてくれる機能性も便利なプラグイン。KONTAKTで動作します。
アコースティックピアノ音源は、Steinway Model Dをサンプリングした『Grand S』に、Yamaha CFIIISの『Grand Y』、『Upright』の3種類。くわえてRhodesやWurlitzerサンプリングのエレピ音源が3種類あります。
コードをサクサク鳴らせるSmart Chordや、豊富なピアノフレーズを収録したAnimatorシステムを使えば、直感的にハイクオリティなピアノトラックの打ち込みが可能です。
Mini Grand - Air Music Technology: 低価格・RockからEDMまで
Air Music TechnologyのMini Grandはセールで格安になっていることがよくあります。
低価格で購入しやすいですが、サウンドはなかなか。小さいベロシティまできれいに鳴らすことができます。
しかも、7種類のピアノモデルを収録。ポップスやRock、EDM・House、アンビエント感の色濃いエレクトロニックミュージックからバラードまで、幅広く対応してくれるうれしいプラグインです。
また、Mini Grandが無料で付属しているMIDIキーボードもあります。DTM初心者はぜひチェックを。
Yamaha CFX - Vienna Symphonic Library: ジャズやクラシックに
Vienna Symphonic LibraryのYamaha CFXは、クリアで明るいパワフルなピアノ音源。
ヤマハのフラッグシップコンサートグランドピアノを収録したそのサウンドは、ポップスやジャズを華やかにし、クラシック楽曲の繊細さを豊かに表現してくれます。
同じSynchron Pianosシリーズには、Bösendorfer・Steinway・Blüthnerのグランドピアノやアップライトピアノ音源もラインナップ。
Model D - UVI: 軽いのにリアルなピアノ音源
UVIのModel DはSteinway Model Dを収録したピアノ音源。UVI Workstationで動作します。
サンプリングライブラリーに定評のあるUVIだけあり、2.6GBほどのコンパクトな容量で見事なリアル感。力強く自然な響きです。
さまざまなトーンコントロール機能と高品質なエフェクトで、音作りも楽しめます。
関連記事: UVIのセール情報
SampleTank 4 - IK Multimedia: 人気の総合音源
IK Multimediaの総合音源、SampleTank 4にもピアノサウンドが収録されています。
アコースティックピアノは、BösendorferにBechstein、そして1930 Blüthner PH Grandをサンプリングした『Art Deco Piano』が特徴的です。
もちろんほかにも、エレピやシンセ系ピアノをふくめ、幅広くさまざまな音源がふくまれています。
FOUNDATIONS Piano - Heavyocity: 無料のピアノ音源【フリー】
HeavyocityのFOUNDATIONS Pianoは、無料で使えるピアノ音源。KONTAKTで動作します。フリーのKONTAKT Playerにも対応なので、ご安心を。
グランドピアノのソフトなサウンドをサンプリングした、モダンでハイブリッドな質感は、さすがのクオリティ。シネマティックでおだやかな雰囲気を、スッと作り出してくれます。
ベーシックなピアノ音源という感じではありませんが、これが無料で使えるのはとてもありがたいです。
Heavyocityはほかにも人気の高品質音源・プラグインを豊富にリリースしているので、あわせてチェックしてみてください。
【まとめ】おすすめのピアノ音源プラグイン【比較・選び方】
ズラッとおすすめをまとめてみましたが、ひと口にピアノ音源プラグインと言ってもほんとうにいろいろ。
やはり、音質・機能、そして容量は比較するときのポイントです。選び方をチェックしていきましょう。
音質: リアルで繊細なサウンドが必ずしもよいわけではありません。逆にちょっとチープなほうが、ジャンルによってはフィットしたり、ミックスになじみやすかったりすることもあります。
機能: 実際のピアノチューニングやマイキングを調整できるものから、柔軟にサウンドデザインができるものまで、エディット機能はそれぞれ多彩です。作曲をサポートしてくれる機能にも注目したいですね。もちろん、演奏を楽しみたいなら、スタンドアロンに対応しているほうがベターです。
容量: これもわすれちゃいけません。いくら高音質なプラグインでも、容量パツパツの重い動作だと、使うのが大変です。持っているPC・Macのスペックも、ご確認を。
といった感じで、方向性はさまざま。シンプルにランキングというわけにはいかないのです。自分のやりたいことや、作りたい曲、予算にあわせて、ちょうどいいものを使ってみてください!
また、この記事では取りあげていませんが、エレピやシンセ系ピアノ音源などもふくめると、さらに選択肢はひろがります。
演奏もできると、ピアノ音源がさらに楽しめる
ピアノ練習はまったく…というDTMerも多いですが、せっかくピアノ音源を使うのなら、演奏もできたほうがよりワクワク楽しめますよ。
もともとぼく自身、ピアノは弾けませんでした。しかし、いざ始めてみると、楽しいうえにメリットがたくさん。すこしでもぜんぜん実感できると思います。
独学で練習するなら、flowkeyはとてもおすすめです。ぜひ、チャレンジを!