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Nectar 4 - iZotopeをレビュー【新機能もすごい】
Nectar 4は、iZotopeのボーカル処理プラグイン。
ボーカルミックスに必要なコンプ・EQ・リバーブ・ピッチ補正などの各モジュールを搭載するだけでなく、『Vocal Assistant』機能ではAIが音源を解析し、自動で適切なパラメーターを設定してくれます!
また、新しいバージョン4で追加/アップデートしたハーモニー生成機能なども要注目。どれをとっても強力な、さまざまな場面に対応するツールです。
Nectar 4の新機能まとめ
さて、そのNectar 4には下位からElements/Standard/Advancedの3エディションがあり、上位になるほど使える機能が増えます。
以下では、3エディションの違いを比較しながら、Nectar 4のおもな機能・使い方をまとめました。
Nectar 4の使い方・機能【Elements/Standard/Advancedの違いを比較しながら】
それでは、Nectar 4の使い方や機能を順番に見ていきましょう。
紹介する各エフェクトは、モジュール形式で自由に組み合わせて使うことが可能です。StandardやAdvancedだけで使える機能が多数ありますので、選ぶときの参考にしてみてください。
上に貼った公式のウォークスルー動画も、あわせてどうぞ。
Vocal Assistant: AIが自動処理
Nectar 4の目玉であるVocal Assistantにボーカルトラックを読み込ませると、AIが自動で解析して最適なエフェクトをかけてくれます。
ターゲットを設定
それからターゲットを選ぶと、好みの質感にサクサクと処理を変更することが可能。
ターゲットプリセットは、Singing・Rap・Speakingのカテゴリーごとに、Balanced・Brightなどのバリエーションが用意されています。
また、以下のシンプルなコントロールで、サウンドを調整できるようになっています。
- SHAPE(EQ)
- リバーブやディレイのX/Yパッド
- INTENSITY(コンプ)
- VOICES/BACKER
- WIDTH
- Key(VOICESの設定用)
パラメーターは下で説明する各モジュールとリンクしているので、後からさらに細かく作り込むのもOKです。
好みのリファレンスをターゲットに: Audiolensでアカペラ抽出
リファレンスを読み込ませると、Vocal Assistantのターゲットを自由に設定することが可能。手持ちのファイルを使うほかに、Audiolensとの連携に対応しています。
Audiolensは、立ち上げるとパソコン上で流れているサウンドが入力されるスタンドアロンのソフトウェア。そこから、アカペラ抽出したNectar 4用のターゲットプロファイルをワンタッチで作成してくれます。
YouTube・Spotifyなど、ストリーミングで聞ける楽曲すべてのボーカルが、すぐにリファレンスとなるわけです。
Vocal Unmask【Standard/Advancedのみ】
Unmask機能は、ほかのトラックがボーカルに被って聞こえずらくしている問題点を自動的に解決してくれます。ボーカルをグッと前に引き出すことが可能。
EQカーブ表示や、インプットに反応して処理される[Dynamic][Sidechain]ボタンもあり、ていねいな作り込みにも対応します。
使い方は、まずボーカルトラックにNectar 4をインサート。ドラムやシンセなどの被りを処理したいトラック(トラックBとする)にもNectar 4、もしくはNeutron・Relayをインサートします。
それから、ボーカルトラックのNectar 4にてUnmask画面からトラックBを選択。読み込んで解析すると、トラックBを自動処理をしてくれます。
なお、処理されたトラックBのプラグインから、Unmaskのオン/オフを切り替えることができます。
ALM(Auto Level module)【Advancedのみ】
Auto Levelを使うと、ボーカルの音量差を調整してくれます。いわゆる自動手コンプ系のモジュールです。
ボリュームにばらつきがあるボーカルトラックでも、これを使えばワンタッチで聞きやすいボーカルトラックにすることが可能。コンプでたたくのに比べ、より自然な仕上がりになります。
また、Tame Noises機能もかなり優秀。オンにするとボーカルにふくまれるノイジーな成分を検出し、低減してくれます。めちゃサクッと使えるディエッサー/ブレス除去といった感じです。
Key: ピッチ補正【Standard/Advancedのみ】
Keyモジュールでは曲のキー・スケールを指定でき、外れているピッチを自動的に補正してくれます。
Strengthを大きく、Speedを小さくすれば、ケロケロボイスの作成も可能です。
Melodyne 5 essentialも付属【Standard/Advancedのみ】
なんとNectar 4にはMelodyne 5 essentialが付属します!
ピッチ補正ソフトの代表格とも言えるメロダインが無料で付属してくるとは、なんとも太っ腹。
メロダインについては、下の記事でくわしく紹介しています。
Voices: ハモリ・ダブリング生成【Standard/Advancedのみ】
Voicesモジュールを使うと、1つのボーカルトラックからハモりやダブリングを生成・付加してくれます。
シンプルなユニゾン系から、豊かなハーモニー作りまで、プリセットがあるのですごくかんたん。
また、各ボイスのボリュームやパンなどをX/Yパッド上でコントロールして、視覚的に全体のバランスを調整することができます。微妙な変化をくわえることで、より自然なハーモニーになったりします。
Backer【Standard/Advancedのみ】
Backerは、1つのボーカルトラックをもとに別の歌声を生成するモジュール。
さまざまなキャラクターのあるバックグラウンドシンガーを、すぐ楽曲に起用することができてしまいます。
プリセットされているスタイルは8種類。さらに、好きなボーカルファイルを読み込ませれば、フォルマント・シビランスをキャプチャーして自由にカスタムスタイルが作成可能です。
EQ【Standard/Advancedのみ】
Nectar 4のEQモジュールは2つ搭載されており、それぞれ最大24バンドまで対応。細部までボーカルのブラッシュアップを追い込むことができます。
特筆すべきポイントは、Dynamic EQモード。
入力ボリュームに対してコンプのように反応する一般的な『Dynamic Gain mode』と、指定周波数帯の音に追従して作用する『Dynamic Frequency mode』があってこれがすごいんです。
周波数の動きにあわせて、オートマチックにEQポイントを動かしてくれるので、ねらった処理を曲中ずっとキープすることができます。
Dimension【Standard/Advancedのみ】
Dimensionモジュールには、Chorus・Flanger・Phaserエフェクトが用意されています。
ボーカルに奥行きや厚み、揺れをくわえることが可能。
Compressor【Standard/Advancedのみ】
コンプレッサーモジュールも2つまで使用可能。
それぞれに、下記のモードが用意されています。
コンプのモード
- Digital(正確なコンプレッション)
- Vintage(アナログコンプをエミュレート)
- Optical(自然なコンプレッション)
- Solid-state(クリアで高域に色付け)
かかり方がグラフィックで見えるので、DTM初心者にもわかりやすいです。
De-Esser【Standard/Advancedのみ】
De-Esserはボーカルの歯擦音(しさつおん)を除去するモジュール。
発音時に舌が歯の裏にあたったりして出る「シュ!」みたいな音を、ミキシングの中で雑音として目立たないようにおさえてくれます。
[Listen]ボタンを押すと、処理した音だけをモニタリングすることが可能。とてもわかりやすく便利です。
Breath Control【Advancedのみ】
Nectar 4 Advancedには、Breath Controlが個別プラグインとして付属します。
ボーカルの雑音を処理するツールで、こちらはブレス音(息継ぎ)を除去することが可能。かなり精度高く、きれいに処理してくれます。
Reverb【Standard/Advancedのみ】
Nectar 4のリバーブモジュールは、ハードウェアリバーブのEMT 140STをモデルとしています。
これがまた、わりと適当にかけてもいい感じにボーカルとなじんでくれる響き。
ちなみにですが、以前とある大御所Hip Hopトラックメイカーの方とお話したとき、Nectarのリバーブは界隈でかなり使われていると教えてもらいました。
Delay【Standard/Advancedのみ】
ディレイもいい感じにボーカルと寄りそってくれます。
高音や低音をフィルターしたり、5種類のモードが搭載されたサチュレーションやモジュレーションをかけたりすれば、いろいろとサウンドデザインが可能。
Lo-Fiな質感や、実験的なテクスチャーもしっかり表現できます。
Saturation【Standard/Advancedのみ】
Saturationモジュールには、下記の7つのモードがあります。
サチュレーションのモード
- Analog(マイルドな感じ)
- Retro(鋭い歪み)
- Tape(アナログテープ)
- Tube(厚みのある感じ)
- Warm(あたたかみ)
- Decimate(デジタルな質感)
- Distort(濁った感じ)
サチュレーションは曲に厚みを出すのにめっちゃ大切。イメージする雰囲気にフィットする質感を選んでみてください。
Gate【Standard/Advancedのみ】
Gateもかかり方が視覚的にわかりやすく、自然な質感。処理しやすいです。
おすすめエディションとポイント
Advancedがおすすめ!
とくにボーカルをよくあつかうDTMerやミックス師なら、Nectar 4の機能がフル活用できるAdvancedはほんとにおすすめ。
ここまで機能をザッと説明してきましたが、これひとつでさまざまな処理に対応してくれます。ワークフロー的にも高効率。
初心者でボーカル処理系のプラグインを持っていない場合も、とりあえずAdvancedを買えばOKといった感じ。相当いろいろできちゃいます。「ひとまず」で、Elements/Standard買うとすぐに物足りなくなってくるかも。
逆に、ボーカルをあまりあつかわないDTMerなら、コスパ重視でElements/Standardを選ぶのはありだと思います。
Advancedは各エフェクトが独立したプラグインとして使用可能
これ、ここまで来ての解説ですが、めちゃ重要なポイント。
最新のNectar 4で追加されたBackerや、Voices・Auto Level機能はとても強力で高品質です。
Advancedであれば、それぞれを単体プラグインとして、PCに負荷をかけすぎずにサクサクと使うことが可能。別プラグインとの組み合わせも楽しめます。
より自由でクリエイティブな音作りに対応してくれるのが、最上位版のNectar 4 Advancedです。
Nectar 4 ElementsはAssistant Viewのみ【AIの自動処理】
Nectar 4 Elementsについても、まとめておきましょう。
まず、使えるのはAssistant Viewのみ。自動処理には対応しており、Audiolensを使ってキャプチャーしたさまざまなプロファイルをターゲットとして適用することも可能です。
エディットはシンプルなコントロールだけとなるので、こまかい調整はほとんどできません。また、Melodyne 5 essentialの付属もなし。
DTM初心者で、なるべくかんたんに作業したい場合とかにはあると便利かな、と思います。
まとめ: Nectar 4はボーカルミックスの万能プラグイン!
繰り返しになりますが、Nectar 4はボーカルをよく扱うDTMerであればかなり使えるプラグインだと思います。
Vocal Assistant機能やプリセットが、パラメーター設定の勉強にもなる。
ボーカルの処理ってなんだかむずかしくて、苦手だなぁ…
と、感じる人はけっこう多いのではないでしょうか?
歌やラップって、他トラックとはまたちょっと処理のポイントが違ったりしますからね。
Nectar 4であれば、Vocal Assistant機能が解析した上でのパラメーターや、プリセット設定を、すべてチェックしたりコントロールすることが可能です。それを参考に、いろいろ研究しながら楽曲のクオリティを上げていくのも楽しいですよ。
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