2022年10月: Iris 2は販売終了となりました。
Iris 2の代わりにおすすめのおもしろいシンセ: Addiction Synth - Stagecraftのレビュー
iZotope - Iris 2のレビューと使い方
Iris 2はiZotopeのシンセサイザープラグイン。
サンプラーのようにサンプルを読み込んでシンセサイズしていくのですが、これが特徴的!
読み込んだサンプルのスペクトログラムを表示し、お絵描きをするような感覚でサウンドデザインができます。
思いもよらないサウンドを直感的な操作で生み出せるのが素晴らしい。
さらに、11GBにも及ぶ膨大な即戦力プリセットとサウンドライブラリーも付属。
普通にガンガン使えるサウンドです。
そんな魅力あるシンセサイザー、Iris 2の特徴や機能を下記に整理しました。
Spectral Filtering
上記の動画で説明されているのが、Iris 2最大の特徴である『Spectral Filtering(スペクトラルフィルタリング)』です。
動画を見てもらえばお分かりの通り、読み込んだサンプルがスペクトログラム表示され、そこにお絵描きをするように発音する部分を選択していきます。
この表示されているスペクトログラムとは、横方向が時間軸、縦が周波数帯、色の濃淡でボリュームを表しています。
Iris 2では、このスペクトログラムを見ながらブラシツールやハーモニクス選択ツール、消しゴムツールなどを使って、音を出す部分を選んでいきます。
最大4つのサンプルをレイヤーに
Iris 2は読み込んだサンプルを最大4つまで重ねて音を出すことができます。
4つのサンプルをそれぞれスペクトラルフィルタリングで、発音させる箇所や発音させ方を選択できます。
この組み合わせで、摩訶不思議なサウンドも作り込んでいくことができるというわけです。
サウンドライブラリー
こちらがIris 2のサウンドライブラリー画面。
(フルサイズのライブラリーはプラグインとは別にAdd-onとしてインストールできます。11GBもあるのでね。)
Patches
Patchesではあらかじめプリセットとして作り込まれたサウンドパッチを選択できます。
300種類以上のベース、リード、パッドなど。
普通に使える音源が揃っているといった感じですね。
Samples
Samplesの中からは、Iris 2に付属する膨大なサンプルの中からサウンドを選ぶことができます。
シンセのサンプリング音源は、ARPやMoogシリーズやユーロラックモジュラーなど、アナログシンセの名機サウンドが収録されており、眺めているだけでもヨダレ物…。
さらに声や環境音、おもちゃの音など、特徴的なサウンドも大量に含まれていて、このサウンドの膨大な組み合わせとスペクトラルフィルタリングで、まさしくサウンドメイクに無限の可能性が広がります。
僕が特に気に入ったのは、コーラス系のボイスサウンドがかなり使えると思います。
曲の雰囲気作りに、かなり役立ちます。
OSC
OSCではシンセの基本波形を選ぶことができます。
こちらもARPやMoogなどの名機から収録されています。
インポートも可能
ここまでIris 2付属のサウンドについて説明しましたが、さらに凄いのは自分が持っているサンプルをいくらでも取り込むことができます!
本当にIris 2のサウンドメイクは無限です…。
モジュレーション【LFO/ADSR】
Iris 2には5つずつのLFOとADSRエンベロープジェネレーターが搭載されており、柔軟にアサインすることができます。ドラッグ&ドロップでサクサクと。
こちらは比較的シンプルで、わかりやすいデザインになっています。
エフェクト
Iris 2のエフェクトは大きく分けてMaster Filter/Master Effects/Send Effectsの3セクションになっています。
もちろんどれもLFOやADSRでモジュレーション可能。
Master Filter
17種類のフィルターから選択して音作りができます。
アナログシュミレートされたものなど、スムースな感じが◎
上のウィンドウにフィルターを通った後の波形が表示されるので視認性もgoodです。
Master Effects
さらにエフェクトはDistortion/Chorus/Stereo Delay/Reverbの4つがあります。
Master Effectsでは、サウンド全体にエフェクトの効果が及ぶ設定となります。
Send Effects
エフェクトはセンド&リターンで設定することも可能。
こちらもDistortion/Chorus/Stereo Delay/Reverbの4つがあります。
センド&リターンでは、最大4つの各サンプルごと別々にエフェクトのかけ具合を設定することができるのも嬉しいポイント。
iZotope - Iris 2の使い方や使い所
曲に深みを出す音作りができる。
Iris 2をトータル的に見ると、深みのあるサウンドメイキングがしやすいのが特徴だと思います。
いまいち曲に深みがでない…
このような悩みがあるDTMerはIris 2をつかってPadサウンドやバックグラウンドサウンドなんかを取り入れてみると、グッと曲に深みが出せるかもしれません。
不思議な音作り、飛び道具的に使う。
上で説明したとおり、Iris 2はとてもユニークなプロセスでサウンドメイキングをすることができます。
スペクトラルフィルターを自分の感覚にまかせてめちゃくちゃにいじってみれば、浮遊感だったりグリッチ感のある思いも寄らないサウンドが生まれるかもしれません。笑
それをオーディオ化して新しいサンプルとして使うなんてのもいいですね。
ちなみに、Kanye WestやBjörkともコラボするアーティストであるArcaもIris 2を愛用しているようで、下記のようなコメントを出しています。
Arca: By design the prominent spectral filter naturally lures one toward engineering unique and textured sounds, all the while feeling familiar and intuitive.Harnessing Iris's musicality is like learning a language you didn't know you already speak.
筆者訳: スペクトラルフィルターでサウンドデザインをすると、自然にユニークで質感あるサウンドを生み出すことができる。Iris 2を音楽に取り入れるのは、まだ知らない言葉を学ぶようなものだ。
彼のまさしく"ヤバい"サウンドはIris 2からも生み出されているようですね~!
(フジロック17'で生で体感しましたが、本当に狂ってた。いい意味で。)
プリセットは今っぽいトレンドな出音ではない。
なお、全体的な出音は、「デジタル感ある、軽さも感じられるサウンド」といった印象です。
現行の人気シンセであるSerumやSpireと比較すると、そのような太っといサウンドという感じではありません。逆に言うと、そこが使い所でもあるのですがね。
なので、EDMやトレンドのベースミュージックを作りたい初心者DTMerの1つめのシンセとかにはちょっと向かないかな、と思います。仕組みもクセがありますし。
下記にIris 2のBassとPadのデモを貼っておくので、チェックしてみてください。