特徴や使い方をレビューしていきます。
SkyDust 3D - Sound Particlesをレビュー【空間シンセサイザー】
SkyDust 3Dは、Sound Particlesが2023年4月にリリースしたシンセサイザープラグイン。
世界初の3Dシンセと題されており、左右だけでなく、上下・前後を表現する空間オーディオ作りが直感的にできるシステムとなっています。
今までにない、新しい3Dサウンドを制作に取り入れたい!
というイノベーティブなDTMerは、ぜひチェックを。
空間コントロール機能はもちろん、基礎となるシンセサイザーとしての機能もしっかりおもしろいです。ほんと、サウンドデザインの新たな世界線に連れて行ってくれますよ!
SkyDust Stereo版との違い【サラウンドでなくてもバッチリOK】
SkyDustシリーズは、SkyDust 3D・SkyDust Stereoの2種類でリリースされています。
SkyDust 3D
フルバージョンであるSkyDust 3Dは、サラウンド5.1・Dolby Atmos 7.1.2などの、さまざまなマルチチャンネルアウトプットに対応。
SkyDust 3Dの空間演出をフル活用することができます。
…とはいえ、そのような環境で制作をしているひとは多くないですよね。趣味のDTMerだったらほぼいないでしょう。
ってことで用意されているのが、SkyDust Stereoです。
Stereo版はステレオにくわえてバイノーラルアウトプットのみに対応し、3D版よりリーズナブルな価格。そして、その他機能は3D版と変わりなく使用できます。多くのDTMerにとっては、こちらで完全に充分というわけです。
「サラウンド環境なしでも使う意味あるのかな?」と考える方もいるかと思いますが、ご安心を。
ふつうのステレオスピーカーやヘッドホンで、しっかりと立体音響を体感できる3Dオーディオを鳴らすことができます。そして、オリジナルな空間演出を作り込んでいくことができます。すごいです。
SkyDust 3D - Sound Particlesのプリセット
ファクトリープリセットはトータルで250種類ほど。
アイコンとあわせて、このようにズラッとラインナップされています。カテゴリーやアーティストでフィルタリングすることも可能です。
言わずもがな、SkyDust 3Dの空間コントロールでバッチリとデザインされたサウンドがいろいろ。このシンセで一体どんな音作りができるのというのを、ざっとチェックできます。どれもハイクオリティなのでそのまま使ってもいいですし、ちょっとエディットするだけでもグッとオリジナル感が出せたりもします。
それから、GUI上のサイコロはパラメーターのランダマイズボタンになっています。これを使って、プリセットに限らないおもしろいサウンドに出会っていくのも楽しいです。
サブプリセット
下で説明していく各セクションにも、サブプリセットが用意されています。
もちろん、こちらでユーザープリセットを保存することも可能。SkyDust 3Dは使い込むほどに可能性が広がるような多機能シンセなので、どんどんオリジナルのお気に入り設定をためていきたいところです。
SkyDust 3D - Sound Particlesの使い方・サウンドデモ
チュートリアルとサウンドデモ
ここからは、SkyDust 3Dの機能や使い方について説明していきます。
中央のビューは、MAIN・OSCILLATOR・FILTER・FM・PITCH・SPATIAL・ARP・EFFECTS・EXTRAS・MATRIXと1Oタブ構成。さらに、ボトムパネルも5タブを切り替えられるようになっています。
上のデモ動画もあわせてチェックしてみてください。
MAIN
まずは、MAINタブでグローバルプリセットを選択しましょう。
ARP・PITCH・SPATIALのOn/Offスイッチおよびプリセットセレクターもあるので、このタブからプリセットベースでいろいろな音をサクサクと試していくことが可能。
右側の7角形は空間ビューアー(Spatial View)となっており、オシレーターごとに色分けされたサウンド粒子が表示されます。3D空間上で音がどのように配置され、動いているか、視覚的にチェックできるエリア。
以下にて説明するタブでいろいろ3Dサウンドデザインをしたら、こちらの空間ビューアーへ戻り、目で見てみるとイメージをふくらませやすいです。
OSCILLATOR【最大8基】
Summary
オシレーターは8つ搭載。
ベーシックなSine・Square・Triangle・Sawにくわえて、ちょっと変わったFull Rectified Sine・Double Half Sine + Silenceなどなど、そして4種類のノイズジェネレーターから波形を選択します。さらに、波形下にあるモデファイスライダーで、エディットすることも可能です。
それぞれのOSCILLATORタブ
1〜8のOSCILLATORタブを開くと、それぞれでエンベロープジェネレーターやLFOをコントロールできます。
現状、サンプリング機能はありませんが(アップデートに期待)、ここで波形エディットをしてオシレーターごとに空間コントロールしてみるだけでもかなり楽しい感じです。
FILTER
フィルターはオシレーター全体、もしくはそれぞれでコントロールすることが可能。
こちらも、フィルタータイプを選んだり、エンベロープジェネレーターやLFOでモジュレーションして、サウンドを作り込んでいくことができます。
FM【モジュレーションマトリックスでがっつり】
FMタブをひらくと、マトリックスを組んで周波数変調をすることができます。
ベーシックなアナログシンセスタイルにくわえて、FM機能もしっかり搭載されたワクワクなシステム。どちらかの音作りをするもよし、ハイブリッドな音作りをするもよし、場面や気分に応じていろいろ試してみてください。
PITCH
ピッチも全体、もしくはそれぞれのオシレーターをコントロールすることが可能。
各オシレーターのピッチをエンベロープジェネレーターやLFOでぐわんぐわん動かしつつ、空間にもダイナミックな動きを出したりして、シネマティックで不思議なオリジナルSEを作るのがめちゃおもしろい!もちろん、ビブラートを作成したり、Lo-Fiな味付けだとかをするのもバッチリ。可能性は無限大です。
SPATIAL【立体的に空間コントロール】
SkyDust 3Dの目玉と言えるのが、3D空間ポジションのコントロールでメインとして使うSPATIALタブです。
モードがOFF・EG・MOVEMENT MODIFIERSの3つあり、ここでも全体かオシレーターごとのエディットを選択できます。順に見ていきましょう。
OFFモード
OFFモードでは、ポジションをオシレーターごとに、ポリゴン型の3Dパンナーで配置します。
それのみだと基本的に動きはないのですが、各3Dパンナーにあるスライダーにご注目を。決定したポジションを中心に発音ごとでランダム化し、モジュレーションなどとはまた違ったダイナミック感が出せます。
この3Dパンナーとランダムスライダーは、ほかのセクションでもいろいろ登場します。SkyDust 3Dが鳴らすおもしろいサウンドにおいて、大きなポイントの1つとなっているシステムです。
EGモード
EGモードでは、エンベロープジェネレーター・LFOを使って、サウンドに3Dモーションをくわえることが可能。
エンベロープジェネレーターは、アタック・ディケイ・リリースなどの時間軸に、3Dポジションをそれぞれ割り当てます。
そしてLFOは、AZIMUTH(左右)・ELEVATION(上下)・DISTANCE(距離感)それぞれの動きをコントロール。DEPTHセクションにあるノブ3つで、LFOの影響度を調整します。
MOVEMENT MODIFIERSモード
こちらはかなり特徴的なMOVEMENT MODIFIERSモード。
サウンドのポジションや動きを、START・MOVE・RELEASEの3つに分けて選んでいきます。
STARTは音のはじまり、MOVEはノートを押している間、RELASEはノートをはなした後のポジションor動き。
回転させたり、浮き上がらせたり、3Dのダイナミックな音像作りがより直感的にできるようになっています。
ARP【シーケンサーがおもしろい】
ARPタブには、ARPEGGIATOR・SEQUENCERの2モードがあります。
ARPEGGIATORモード
ARPEGGIATORモードでは、シンプルにアルペジオパターンを選択して、オクターブやスピードの設定をします。
SEQUENCERモード
SEQUENCERモードは、さまざまなスタイルにカスタムすることが可能です。
ピッチの動きは±で設定するほか、キーボード表示での打ち込みにも対応。ポリフォニックにコードパターンをシーケンス化することもできます。
さらに、ステップごとに3Dパンナーを設定したり、フィルターやFMのパラメーターをコントロールしたり、かなり使い込みがいのあるシステム。このあたりもSkyDust 3Dの大きな特徴です。
EFFECTS
EFFECTSタブでは、最大4つのスロットに、Bit Crush・Delay・Distortion・Equalizer・Reverbのエフェクトをアサインして音作りが可能。
派手にディストーションさせたときのドライブ感とか、リバーブの壮大なシネマティック感とか、けっこうイケてます。
EXTRAS
EXTRASからは、さらに最大8つのエンベロープジェネレーター&8つのLFOで、さまざまなパラメーターをモジュレーションすることが可能。
右側のCURVE EDITORを使うと、動作をよりフレキシブルに調整することができます。
MATRIX
MATRIXタブでは、モジュレーションソースとコントロール先を整理しながら調整することが可能です。
さらに、マクロをモジュレーションソースとしたり、モジュレーションホイールのアサインをしたり、設定を作り込んでいくことができます。
ボトムパネル
ボトムパネルには、KEYS・MIXER・MACROS・PADS・SPATIALの5タブがあります。
KEYS
KEYSタブでは、MIDIキーボード・空間ビューアーの表示や、SPATIAL機能・PTICHモジュレーション・ARPのOn/Offなどができます。
MIXER
MIXERタブでは、各オシレーターのボリュームや、エフェクトのDry/Wetコントロールなどができます。
MACROS
MACROSタブでは、A〜Dのノブにさまざまなパラメーターアサインし、連動させてコントロールすることが可能。
PADS
PADSには、2つのXYパッドを搭載しています。こちらのさまざまなパラメーターをアサイン可能。[SNAP]をオンにすると、カーソルを離した時、もとのポイントへ自動で戻るようになります。
SPATIAL
SPATIALタブをひらくと、さまざまなタイプの空間ビューアーでサウンドの状況をチェックすることができます。
SkyDust 3D / Stereo - Sound Particlesのセール情報と購入方法
SkyDust 3D / SkyDust Stereoは単品のみで購入可能。現在、バンドルにはふくまれていません。
25%オフのセールがちょくちょく、半額になるセールがたまにあります。タイミングがあえばチャンスです。
セール状況をチェック
サラウンド環境で作業することのない一般的なDTMerであれば、低価格なStereo版の購入でOK。
セール期間は各ストアでずれていることがあります。限定キャンペーンもチェックを。
Check
なお、学生や教職員用の学割版もあります。利用には証明書の提出が必要です。